愛知県名古屋市
若い世代がリードし、上の世代が支え、理念を継承 注目ホテルの建設へ挑戦
「変なホテル」チェーンといえば恐竜ロボットや人型ロボット、フロントの壁に映し出されたホログラムのキャラクターにより、非対面でチェックインやチェックアウトの対応をすることで一躍話題になりました。「世界初のロボットが働くホテル」として2015年にギネスにも認定され、これまで国内20か所、海外2か所に展開しています。
昨年12月22日には「変なホテルエクスプレス名古屋 伏見駅前」がオープンし、名古屋へ初進出。その施工を手がけた株式会社麦島建設 工事部 花井優太さんにお話を伺いました。
従来の「変なホテル」とひと味違う「エクスプレス」がコンセプト
恐竜や人型ロボットがフロントで出迎える映像を見ただけでは、単にエンターテインメントとしての面白さを狙っているように見えるかもしれません。
しかしそれらは最先端テクノロジーを搭載し、非対面でのチェックイン・チェックアウトを可能にしました。これは人件費の削減だけでなく、新型コロナ感染症の流行によって非対面・非接触が接客業において利点になるということが、広く一般にも認識されるようになりました。
特にホテルのように国内外から多くの利用客が交錯する施設では大きなメリットとなります。「変なホテル」の「変」とは一つの型にとらわれず、時代やニーズに応じて進化し続ける「変化」を意味します。
そして今回新規オープンした「変なホテルエクスプレス」には、恐竜も人型ロボットも、ホログラムのキャラクターもいません。最大の特徴は、その名のとおり「最短10秒でチェックインが完了する」新システム。予約完了時に登録したメールアドレスに送られてきたQRコードを、ホテル到着時にフロントのチェックイン機にかざすだけでルームキーとレシートが発行される仕組み。これにより従来のチェックインに比べて、所要時間の大幅な短縮を実現しました。
とくに忙しいビジネス利用では、チェックイン時のストレスが大きく軽減されることは大きなメリットになります。また、名古屋駅と栄の中間地点である伏見エリアにあり、観光やレジャーにも幅広い客層の利用が見込まれています。
“未来予知”レベルの事前準備とコミュニケーションでトラブルを防ぐ
これまで麦島建設はマンションや戸建住宅、商業施設などを主として実績を積み重ねてきました。
「会社としてもホテル新築というのは今回が2件目。RC14階建ての110室というのは大きい建物ですが、マンションなどで同様の規模、それ以上の案件も多く手がけています。
しかし、ホテル建設の経験値としてはまだ多くありません」(花井さん)
現場の立ち上げから参加した花井さんは、現場代理人として引き渡しまで通して現場を指揮してきました。何よりも大前提となるのは無事故、無災害で完了すること。そしてより良いもの、高品質を追求すること。それはあらゆる箇所でミリ単位での指示や確認を繰り返すことでもあります。その間には大小さまざまなイレギュラーも起こりましたが、それも想定済みだったとか。
「現場運営にはトラブルはつきものです。なにしろ現場では長期間、職人さんたちはもちろん多くの人が動きますから。ほんの小さなズレがトラブルにつながることもあるので見逃せません。例えば一般の住宅ではつけないようなところにUSBを通すといった、細かなホテル特有の設備もあって。
ひたすら想像力を働かせて、未来予知をするように準備しながら進めました」(花井さん)
事故もなくスムーズに引き渡しとなり、昨年末に無事オープンした「変なホテルエクスプレス」。花井さんは事業主とも頻繁に現場で打ち合わせをし、コミュニケーションを重ね認識を共有することに多くの時間を割いてきました。
「ある程度、信頼をいただけたのではないかなと自負しています」と話す、少し照れくさそうな表情が印象的でした。
注目の人気ホテルプロジェクトに若い世代が多く参加した意義
有名ホテルチェーンの新規コンセプト第一号ともなれば、世間的な注目度も高い案件。そこには花井さんをはじめ多くの若い世代も参加しました。
「私も30代半ば。大手企業ではまだこんな大きな仕事を任せてもらえる年齢ではありません。それを経験させてもらえたことは貴重な財産になりました。
今回の工事に参加したのはベテランと若手が半々くらい。こうして実際の現場で『良いものを造る』というイズムと経験が若い世代に継承される、良い機会にもなったと思います」(花井さん)
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