Interior Idea
〈オーダーメイドギャべ〉11 思い出を ぬくもりに
子どものお絵かきや覚えたばかりの字、父が描いたかつての愛犬、祖母からの絵手紙──
たとえ小さな紙きれであっても、目にした瞬間あたたかい想いがこみあげる大切な思い出。
そのぬくもりを暮らしのインテリアに取り入れる、萩原製造所 店長の西健太さんに伺いました。
イラン南西部の山岳地帯を移動する遊牧民の伝統的な絨毯「ギャべ(ギャッベ)」は、ペルシア語で「ざっくりとした」という意味の、毛足の長い手織りの絨毯です。昼夜の寒暖差が激しい山岳地帯の暮らしの中で、羊の毛に草木染めを施してざっくりと厚く織り、フカフカに仕上げ、ベッドとして使われてきました。縦糸に一目一目糸を結んで織るギャベは、その手結びゆえの不揃いな形も素朴な魅力とされてきましたが、近年は市場向けに品質も向上し、ペルシャ絨毯の人気の一角となっています。
「娘たちはお絵かきが大好きで、毎日見せてくれるんですが、日に日に上手くなっていくんです。全部とっておくわけにもいかないし、自信作は写真に撮ったりもしますが、結局は捨ててしまいますよね。そんな話を会社の先輩としていたときに『わたしのギャベ』は生まれました」(西さん)
「わたしのギャベ」は手描きのイラストや文字をギャべに仕上げるオーダーメイドです。元来、ギャべは身近な動物や景色、出来事などをモチーフに暮らしの中で生まれたもの。「わたしのギャベ」も「現代日本版のギャべ」と言えるかもしれません。
明治25年の創業から、い草製品を中⼼に素材にこだわった製品づくりを⾏ってきた萩原株式会社。
「萩原では30年以上インドでラグの生産を行って来て、ギャベも染めから織りまでインドの職人が一枚一枚手作業で生産しています。現地に行ったときに長女の描いた鳥の絵をギャベにしてもらいましたが、ウールの色鮮やかさやギャベのざっくり感は、手描きのゆるいタッチをよく表現していました。職人の手織りによって、どんな絵でも味のあるいいギャベになります。特に固定概念のない子どもの絵は『わたしのギャベ』にぴったりです」(西さん)
萩原製造所のロゴ「まるふ」は、歴代社⻑が継いできた「萩原賦⼀(ふいち)」の名に由来しますが「ふ」すなわち「不」から「ふたつとない」という意味も込められています。世界に一枚の絵から生まれる世界に一つのギャべのぬくもり。これこそ「ふたつとない」宝物になるはずです。
ホームページのギャラリーでは実際の制作事例を原画と合わせて豊富に掲載。
「ふたつとない」の意味も込められた萩原製造所のロゴマーク「まるふ」
萩原製造所/萩原株式会社
- 岡山県倉敷市西阿知町西原884
- tel:086-465-6114
- 平日9:00~12:00/13:00~17:00
- https://hagiharaseizosho.shop/