ZEN CLUB

2022年 08 月号 Number. 544

Interior Idea

〈木曽檜 Kiso-Hinoki〉08 心安らぐ木のぬくもり

国土の約3分の2を森林が占める日本は、世界有数の森林国。
古来から日本人の住まいや暮らしは、木に包まれ、支えられ、いつでも木と共にありました。
木肌のぬくもりや檜の爽やかな香りに癒されるのは、DNAの記憶かもしれません。

インテリアアイディア:〈木曽檜  Kiso-Hinoki〉08 心安らぐ木のぬくもり

左上・右上:「木曽の檜でつくった風呂椅子」は、座面を中心部にむかって傾斜させることで座り心地良く、また座高を高めにして腰の負担も軽減。左下:湯桶は受注生産となる檜の他にこの「木曽のサワラでつくった湯桶」も。右下:優しい檜の香りが広がる「木曽の檜でつくったアロマ材(入浴用)」。

防虫用アロマフック

四季があり湿度も高い日本。木材の利点として調湿効果や吸音性、リラックス効果などが挙げられますが、近年耐火にも優れた木造高層マンションや、自然を取り入れた空間デザインも注目されています。

豊富な日本の森林資源の中でも、檜は世界最古の木造建築・法隆寺をはじめ、神社仏閣や城にも重用されてきました。耐水性や耐朽性、抗菌性も高く、緻密な上に加工も容易。美しい木目に清らかな芳香で、現代でも最高品質の建材と言われています。

東北以南に広く分布する檜ですが、伊勢神宮で行われる式年遷宮のご用材となるのが、長野県と岐阜県にまたがる木曽谷に育つ天然の「木曽檜」。他の場所で育つ檜の何倍もの時間をかけてゆっくり生長するため、緻密で美しい年輪は特別な存在感があります。この木曽檜をはじめ全国の国産木材を使用した家具や空間デザインを手掛ける株式会社Tree to Green 小瀬木隆典さんに伺いました。

「日本の暮らしに木は欠かせません。しかし、森林やその地域には解決が必要なさまざまな課題があります。日本の木と文化、伝統技術、その魅力を広く伝えることで、さまざまな森林課題の改善に貢献したいとTree to Greenを立ち上げました。木の特性を活かしたインテリアや空間の設計施工などが主な業務ですが、暮らしに取り入れやすいアイテムの製造販売、また木工のワークショップや木育の出張教室なども行っています」

「木曽生活研究所」という木製品ブランドでは、檜の香りや感触を存分に楽しめる製品を展開。中でも風呂椅子や桶などのバスラインは、檜風呂の気分を手軽に楽しめると人気で、外資系メジャーホテルやメディアからもその品質が高く評価されています。

「檜の抗菌・消臭作用の成分はとくに節に多く含まれていて、その部分で作った防虫用のアロマフックも人気です。人は本能的に風や草木、水などの自然に心地よさを感じるようにできていますが、木曽檜なら小さなアイテムでもその芳香が心をリラックスさせてくれます。まずは身近なところから、木のぬくもりを感じるものを取り入れてみてください」(小瀬木さん)

インテリア アイディア:エントランスロビー
神奈川県にあるレジデンスのエントランスロビーに設置したオリジナルデザインのベンチ。神奈川の木材と神奈川県の職人により製作。
インテリア アイディア:檜原森のおもちゃ美術館
東京都にある『檜原森のおもちゃ美術館』。空間の中の遊具や家具には、檜原村のヒノキをふんだんに活用しました。
小瀬木 隆典様

小瀬木 隆典

長野県木曽郡大桑村で50年以上続く小瀬木木工所を家業に持つ。(株)Tree to Greenでは、商品事業・木育事業・住宅事業の役員として従事。