不動産・建設関係のトレンド
10年後・20年後の住まい方を考える
例えば、今や小学生から高齢者まで幅広く普及したスマートフォンも、10年前の個人の保有率はわずか15%にも及びませんでした。
2022年現在のニューノーマルを3年前に想像できましたか? 10年後子どもたちは独立しているでしょうか? 老親と同居する可能性は?
家族の暮らし方や企業の働き方も、学校も社会も、新しい価値観や先進技術によって変化のスピードは加速しています。
将来設計に基づいて備えること、想定外の展開にも対応しうる可変性を担保すること。住まいに対する考え方にも変化が見えています。
少子高齢化・未婚率の上昇に伴い単身世帯増加が加速
かつて日本の家族構成は直系3世代以上が主でしたが、戦後の核家族化が集合住宅の大量供給につながったように、現在は単身世帯の増加が次の変化となって現れています。2020年国勢調査によれば、総人口は10年前から1.5%減。大都市への集中は止まず、人口100万人未満の県はついに10県となりました。人口減少の要因は少子高齢化であり、それは単身世帯の増加と表裏一体です。
2015年の「7人に1人が1人暮らし」という状況が、2025年には「6人に1人強が1人暮らし」に変わると言われています。少子化で20〜40代は人口が減少するとともに単身世帯も減るのにも関わらず、全体の単身世帯数が増えるのは、50代以上、特に70代男性と80歳以上男女の単身世帯の増加が伸びるため。その主な要因は晩婚化や未婚化、離婚の増加、親子同居率の低下といった世帯形成の変化です。2020年の「50歳未婚率」(50歳までに一度も結婚しない人の割合)は男性28.3%、女性17.9%。未婚の高齢単身者の多くは子どももいないので、老後の生活は事業者のサポートが不可欠となり、介護住宅・施設などへの転居も将来の視野に入れておくべきかもしれません
コロナ禍を経て変わった働き方と住まい方
家族構成の変化よりも急激に、社会的な変化として大きなインパクトを与えたのが新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)です。通信技術やデバイスの進化によって、すでに世界では働き方が大きく変わりつつありました。しかし、緊急事態宣言下にあっても判子のために出社しなければならない社内システムの是非が問われていたのが日本の現状でした。それがわずか2年ほどの間にリモートワークやクラウド化が劇的に進んだのは、やはりコロナ禍によるものと言えるでしょう。
その影響は地方や郊外への移住を検討する人の増加に顕著に現れています。現在も社員や契約社員の9割がリモートワークを行なっているヤフーは「働く場所の選択をより拡充していく」として、4月から日本全国どこでも居住可能にすると発表しました。こうした企業側の動きに加えて、人口が減少している地域の自治体の中には、移住者の受け入れを積極的に行っている例も多くみられます。
自宅周辺で過ごす機会が増え、自宅や地元に求める条件が変わったり、子育て環境やリフレッシュできる場所を求めるなど「どこに住むか」のニーズにも変化が生じています。
ライフステージや家族構成 20年後の変化も見据えて
家を建て、結婚して、子供が生まれやがて独立して…という、ステレオタイプの固定観念はもう意味を失いました。それも多様な生き方の一つにすぎません。リモートワークで働き方が住まい方を変えたように、移住し古民家をリノベーションして新しい仕事を始める人もいます。結婚の形も多様化し、夫婦それぞれが別の住まいを持つ「別居婚」も珍しくなくなりました。生活共同体として他人同士が同居するシェアハウスも社会にすっかり定着しています。今後はさらに多様な働き方、住まい方が増えていくことでしょう。
10年後20年後の住まいを考えた時、何が見えてくるでしょうか。長く住む家であれば、身体機能の衰えも踏まえなければなりません。階段や段差の安全性はもちろん、設備の高さや大きさも加齢に合わせた配慮が必要です。また、五感も年齢で変化します。特に視力の低下が著しく、高齢になっても心地よく住み続けるためには採光や照明は大きなポイントと言えます。さらに、IOTやAIもこれからの住まいを考える上で見逃せません。耐震や防火、防犯、防災など生命と暮らしを守る備えも、省エネやクリーンエネルギーも、そして便利で住みやすい空間づくりにも、日々進化する先端技術が活かされています。高齢になるほど、そうした技術が暮らしの助けになるはずです。
住み替えやリノベーションも将来の選択肢を増やすために
20年後には誰しも今とは違う変化があるでしょう。加齢による身体能力の低下を補う住まいや、趣味を存分に楽しむのためのパーソナルな部屋づくりは人生を豊かにしてくれるはずです。それは戸建はもちろんマンションでも実現が可能です。
ZENグループではリフォームやリノベーションにも力を入れており、既存の建物を壊すことなくその良さを活かしながら、一棟まるごとトータルリノベーションを行うマンションも提案しています。「今」のライフスタイルに応える最新設備も導⼊し、セキュリティ面の安全性からエントランスエリアの植栽まで、住む人の快適さを追求します。
また、個別の専有部も暮らし方や好みに合わせたリノベーションが可能なので、よりパーソナライズされた「我が家」にカスタマイズできます。
先が読めないからこそ柔軟性が求められる時代。将来の岐路に立った時、行きたい道を自由に選ぶためのサポート役でありたいと願っています。
TOPIC
ユニーブル東府中リ・ノヴァス
既存の建物を壊すことなく再⽣させる、一棟トータルリノベーション物件『リ・ノヴァス』シリーズ。共用部はより住みやすく快適に建物内外に⼤規模補修を⾏い、専有部は選べるリノベーションプランをご用意。デザイン性とセキュリティ⾯にも配慮し、マンションの価値を⾼める空間へと⽣まれ変わります。
ワンポイント コラム
分譲マンションの建て替え条件の緩和へ、政府が検討
現在、分譲マンションの建て替えには所有者の「5分の4」の賛同が必要ですが、昨年末、政府は分譲マンションの建て替え条件を緩和する検討に入るとの発表がありました。共用部の変更や管理組合法人の解散などを決める場合と同じ「4分の3」かそれ以下に引き下げる内容を軸とした、区分所有法の改正を目指します。建て替えをしやすくし老朽化マンションの増加に歯止めをかける狙いです。
分譲マンションは一般に、所有者による管理組合によって建て替えなどの重要事項を決議しますが、同じ土地で建て替える場合、区分所有法に基づき必要な条件は、所有者の5分の4の賛同。また、マンションの敷地を一括売却し、代金を分け合う「敷地売却」の場合は、原則として所有者全員の同意が必要です。1戸でも同意が得られない場合や所有者不明の状態があると、事実上マンションの再開発が不可能になってしまいます。
そこで、相続などを経て連絡がつかなくなった「所有者不明」の区分は、一定の条件下で意思決定から除外できる案も議論されることになりました。
国土交通省の推計によると、2020年末時点でマンション675万戸のうち築40年を超える物件は103万戸にも上り、これが2040年には405万戸まで膨らむ見通しです。さらに、築40年以上の物件で連絡が取れなかったり所在地が不明だったりする所有者は4%に達するといわれています。
建て替えの条件を満たす合意を得られず、とりあえずの措置でしのぐケースは少なくありません。こうした建て替えや敷地売却に対する条件の厳しさは長らく問題視されてきました。「災害の多い日本で老朽化マンションを放置するのは危険だ」と危惧する声も多く、決議条件の緩和に期待が寄せられています。