不動産・建設関係のトレンド
住居だけでなく多種多様な商用利用にも今注目の「トレーラーハウス」
土地付きの戸建が“国民共通の夢”だった時代は過ぎ、土地に縛られず自由に暮らすことに憧れる人が増えています。
働く場所を特定せず移動する「ノマドワーカー」や、余暇を楽しみつつ仕事をする「ワーケーション」などの言葉が広まったように
新しい価値観、新しい暮らし方・働き方が生まれている、その流れの中でトレーラーハウスにも今、注目が集まっています。
いま注目を集めているトレーラーハウスの魅力
リモートワークやワーケーションといった従来の住宅概念にとらわれない新しいライフスタイルが広く認知されるようになった今、土地に縛られず移動しながら暮らせる「トレーラーハウス」が注目を集めています。牽引用のタイヤがあることを除けば通常の住宅と変わらない住み心地で、コンパクトな空間ながらキッチンや浴室、ベッドルームなど、生活に必要な設備を整えられる点も魅力の一つと言えるでしょう。
トレーラーハウスの用途は住宅だけにとどまらず、オフィスや宿泊施設、サウナ、ジム、カフェ、レストラン、様々な商業施設など、大手企業の参入も増えてきました。大阪万博の建設現場に移動型無人店舗のファミリーマートが設置されたり、刈谷PAや複合施設アンフォーレ(共に愛知県)にラジオ放送のトレーラーハウス型サテライトスタジオが開設されるなど、フレキシブルな活用が広がり、投資目的としても需要が伸びています。
さらに、従来の一般的な住宅に比べてコンパクトな設計のため建築資材の使用量が少なく、撤去の際も容易で、環境負荷を低減することができます。太陽光発電や雨水利用システムなどを搭載することで自給自足に近い生活も可能で、災害時の応急仮設住宅などにも利用が見込まれています。
キャンピングカーやコンテナハウスとの違いとは?
トレーラーハウスはキャンピングカーやコンテナハウスと混同されがちですが、それぞれ特徴が異なります。
キャンピングカーはエンジンがある自走式車両に居住空間を擁したもので、トレーラーハウスは自走できず、住宅としての機能を重視しています。
しかしナンバーが付いているという点では法律上どちらも自動車。建物ではないので固定資産税や不動産取得税はかかりません。
一方、コンテナハウスは、輸送用のコンテナを改造したもので、複数個積み重ねて多階層化も可能。通常の建築物よりも安く、工期が早いのが特徴です。
普通の家屋とは違い移動もできますが、あくまでもコンテナを活用した「建築物」。
エンジンやタイヤなどはなく、設置後の移動はキャンピングカーやトレーラーハウスほど容易ではありません。
また建築基準法に則った建築許可が必要で、コンテナそのものは比較的安価ですが、内外装を改装した上で住居として使用するため、建築費用は高額になる場合があります。
トレーラーハウスは、これらの要素をバランス良く兼ね備えており、住宅としての快適性と移動の自由度を両立させています。
トレーラーハウスは新たな文化となり得るか
都市部で高騰する住宅価格に対し、トレーラーハウスは住まいの自由な選択肢として地方移住をより身近なものにするでしょう。
さらに地方の空き地をトレーラーハウスパークとして活用することで、地域活性化につながる可能性も模索されています。
また、期間限定の店舗やイベントスペース、レンタルスペースなど柔軟なスポット利用が可能になり、新たな業態の創出も期待されます。
トレーラーハウスはその自由度と多様性から私たちの暮らし方や働き方を大きく変える可能性を秘めています。
今後、さらなる規制緩和や法整備によって新たな広がりがあるかもしれません。