ZEN CLUB

2024年 10 月号 Number. 570

不動産・建設関係のトレンド

住宅の取得、リフォーム 若者・子育て世帯は今がチャンス!?「子育て世帯住宅優遇策」

3月28日の参議院本会議で可決・成立した「令和6年度税制改正関連法」では、子育て世帯への支援強化の必要性や、急激な住宅価格の上昇といった現状をふまえ、住宅ローン減税の制度変更などが盛り込まれました。

子育て世帯と若者夫婦世帯を対象にした今回の手厚い税制支援。その内容をいま一度確認してみましょう。

住宅ローン減税の借入限度額で優遇

住宅ローン減税とは、住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得、または増改築などをした場合、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除する制度です。

借入限度額については2024(令和6)年から縮小される予定でしたが、今回の税制改正で、子育て世帯(19歳未満の子を有する世帯)と若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満の世帯)が2024年に入居する場合には、2022・23年入居の場合の水準(長期優良住宅・低炭素住宅:5,000万円、ZEH水準省エネ住宅:4,500万円、省エネ基準適合住宅:4,000万円)で据え置かれることになりました。

マイホーム取得を政府が後押し

国土交通省のホームページによると、子育て世帯・若者夫婦世帯が2024年中に入居した場合の最大控除額は、長期優良住宅・低炭素住宅が455万円、ZEH水準省エネ住宅が409.5万円、省エネ基準適合住宅が364万円です。

一方、対象世帯以外の借入限度額と最大控除額(カッコ内)は、長期優良住宅・低炭素住宅が4,500万円(409.5万円)、ZEH水準省エネ住宅が3,500万円(318.5万円)、省エネ基準適合住宅が3,000万円(273万円)。政府が若者・子育て世帯のマイホーム取得を後押ししているのが分かります。

2025年度税制改正においても同様の方向性で検討される見込みといわれており、子育て世帯・若者世帯は引き続き現状の借入限度額が据え置かれる可能性があります。

この機会にマイホーム購入を検討してみてはいかがでしょうか。

子育てに対応したリフォームも支援

一方、「令和6年度税制改正関連法」では、既存住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良住宅化リフォームに係る特例措置が、2年間延長されました。

さらに「こども・子育て政策」の抜本的強化として「こどもまんなかまちづくり」を推進するため、子育てに対応した住宅へのリフォームについては所得税の特例措置が新たに講じられています。

背景には、2022年の出生数が約77万人と過去最低で、少子化が危機的状況にあることがあげられます。

政府は子育てに対する不安や負担が大きいことが少子化の要因の一つであることを踏まえ、子育てに対応した住宅へのリフォームを支援し、子育て世帯の居住環境を改善することを決めたのです。

対象は対面式キッチンへの交換工事など

具体的には「19歳未満の子を有する世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」が、子育てに対応した住宅へのリフォームを行う場合に、標準的な工事費用相当額の10%等を所得税から控除する、というもの。対象工事の限度額超過分及びその他増改築等工事についても一定の範囲まで5%の税額控除になります。

リフォーム内容は「➀住宅内における子どもの事故を防止するための工事 ➁対面式キッチンへの交換工事 ➂開口部の防犯性を高める工事 ➃収納設備を増設する工事 ➄開口部・界壁・床の防音性を高める工事 ➅間取り変更工事(一定のものに限る)」に該当するもので、たとえば「転落防止の手すりの設置」「防音性の高い床への交換」「可動式間仕切り壁の設置」などがあります。

ただし、子育てに対応した住宅へのリフォームに係る所得税の特例措置特例措置については、適用期限が2024年12月31日までとなっています。

この機会にリフォームを検討している方は、お早めに施工会社等へご相談ください。

■子育てに対応した住宅へのリフォームイメージ

  • 転落防止の手すりの設置
  • 対面式キッチンへの交換
  • 防音性の高い床への交換
  • 可動式間仕切り壁の設置