ZEN CLUB

2024年 09 月号 Number. 569

<ZENグループの今>プロジェクトing

神奈川県横浜市中区 ヴィルヌーブ横浜山手

入居者をつなぐ「原点」とも言える活動

憩いの場「コミュニティーフォーラム」

管理員の皆さん。左から、高橋敏昭さん、外山千賀子さん、横山昇さん、安藤晶子さん、本間健也さん、神田弘美さん、杉原進さん

マンション管理を手掛ける株式会社ライフポート西洋では、40年も前から業界に先駆けて「コミュニティーフォーラム」と呼ばれるフロントサービスを導入しています。

横浜市中区で同社が管理するマンション「ヴィルヌーブ横浜山手」でも、コミュニティーフォーラムが入居者の方々の「憩いの場」として親しまれている、とのこと。担当フロントの宮本 真さんはじめ、関係者の方々にお話を伺いました。

マンションを「一つの街」として

「コミュニティーフォーラム」は、大規模なマンションを「一つの街」と位置づけ、入居している人たちが快適で、便利に暮らせるよう、さまざまな
サービスを提供するものです。「ホテルライクな高品質サービスを」との発想から、業界に先駆けてライフポート西洋が1984年、所沢市のマンション
に初めて導入しました。

マンション内には、サービスカウンター付きの管理員室やコミュニティ施設などを設置。クリーニングや宅配便の受け渡しといった日常的なお手伝い、リフォームやハウスクリーニングなどの相談・紹介、季節の行事やカルチャー教室の企画・運営など、施設ごとにきめ細かなサービスを提供しています。

ただ物件を管理するだけではなく、マンション内でのコミュニティ形成を大切に考える、同社の原点とも言える活動です。

「ヴィルヌーブ横浜山手」の特徴とは

「ヴィルヌーブ横浜山手」は、JR根岸線山手駅から徒歩11分。閑静な高台に位置する、1987年に建てられた地上5階建てのマンションです。並び
立つ2棟の間に、緑豊かな広い中庭があるのが印象的。マンションの周囲はフェンスで囲まれ、プライバシーやセキュリティ面が安全に保たれているの
も特徴です。

築年数が経っていますが、管理組合が建物のメンテナンスや延命工事に尽力。2018年に大規模修繕工事が完工し、2022年には共用部給水管更新工事も実施するなどしてきました。

可愛らしいピンクのタイルで彩られた外観から、若い世代には「ビンテージマンション」として親しまれているそう。

竣工当初や初期のころから、長年にわたって住み続けている高齢者も多くいますが、最近では若手の組合員も増えており、理事会では活発な意見交換がされているそうです。

今年8月で居住して30年になる入居者で、管理組合の竹川高郎さんは「住民同士、付かず離れずの関係」で心地よい雰囲気を保っている、と話します。

「このマンションには、時代の変化とともに歩んできた歴史があります。醸し出される文化、というものがあり、それを背負って暮らしていけるのが良いところです」(竹川さん)。

管理員の存在

そのような「ヴィルヌーブ横浜山手」でも、コミュニティーフォーラムは「入居者誰もが隔てなく立ち寄れる『憩いの場』的な存在となっています」と話すのは、担当フロントの宮本さん。

コミュニティーフォーラムの受付では不在時の宅配物の預かりサービス、郵便書留の受け渡し(郵便局で依頼書を取り交わしている住戸のみ)、ク
リーニング仕上がり品の引き渡し、FAXやコピー、トランクルームのサービス提供などを行っています。

これらのきめ細かいサービスだけではなく、コミュニティーフォーラムが親しまれているのには、管理員の方たちの気配りにも要因がありそうです。

管理員は現在7人。宮本さんは「7人それぞれに個性があるので、得意なことや長所を発揮しながら、フォーラムを運営してくれています」と話します。

管理員の一人、本間健也さんは約10年前から勤務。「入居者の方に寄り添った形で相談を承ったり、お話をさせていただいたりしています。いろいろな方が暮らしている、ということをよく理解し、対応するようにしています」(本間さん)。

同じく管理員の神田弘美さんは近隣エリアに住んでいることもあり、地元を知る立場としても入居者から信頼が厚いそうです。

竹川さんは「あえて言葉にはしませんが、同じ地域に暮らしている人だから分かることも多いです」と頼りにしている様子でした。

一方で神田さんは「住民の方の協力なしにはできないことがたくさんあり、皆さんに助けられてきました。私は地元に住んでいるため、プライベート
で知り合いの方もいますが、仕事とプライベートは違うので一線を引くようにしています」とのこと。

竹川さんも「管理員の方たちからは、ほかの入居者のプライバシーに関する話を聞くことはありません」と信頼を寄せていました。

高齢者の安心・安全を守るために

入居者が高齢化するに従い、コミュニティーフォーラムの重要性は今後、ますます大きくなっていくでしょう。一人暮らしや、認知機能に衰えが見
られる高齢者もいるため、見守りや声掛けがこれまで以上に重要になっているのです。

宮本さんによると、緊急時の対応についても、マニュアルを踏まえつつ、管理員の方たちが都度、判断し的確な対応をしている、とのこと。竹川さん
は「高齢者の一人暮らしが増えており、今後もさまざまな事態が出てくると思いますが、管理員の方たちが何をすべきか、よく考えて動いてくれている
と感じています」と安心した様子です。

「今後、高齢者の転倒や病気などで、緊急搬送が必要なことも増えてくると思います。警備会社や介護サービス事業者とも協力しながら、より踏み込
んだ高齢者の見守りサービスを提供できないか、考えていきたいと思っています」(宮本さん)。

建物の老朽化にも対応

マンションの老朽化が全国的に問題になる中、「ヴィルヌーブ横浜山手」はマンション管理業協会が運営する「マンション管理適正評価制度」で「99点☆5」、国の「マンション管理計画認定制度」でも認定を受けており、管理・運営面で入居者の安心や安全を守るとともに、資産価値向上にもつなげています。

宮本さんは「全世帯の方々が快適に、笑顔で生活が送れるよう、建物や設備を維持していくことが私たち管理会社の使命です。

物価高騰で管理や修繕に苦労も多いのですが、今後も建物に携わる方々と協力しながら、“山手で一番のマンション”と言われるよう頑張りたいと思います」と意気込みを話していました。

コミュニティーフォーラムでのホスピタリティ精神、そして仕事に対するプロ意識。フロント担当者、管理員、そして入居者の方たちとの程良くも固い絆が垣間見られました。

管理員の皆さんと宮本さん、管理組合の竹川さん(右から3人目)
防犯などセキュリティ面にも注力している
管理員を介して利用できる空調完備のトランクルーム
横浜支店Ⅰグループ マネージャー
宮本 真さん