ZEN CLUB

2024年 09 月号 Number. 569

Interior Idea

interior idea 32 物々交換で宝探し〈サルベージSHOP〉

いつの間にか「断捨離」という言葉も定着し、「ミニマムな暮らし」として最低限必要なものしか部屋に置かないという人も増えています。
でも、必需品でなくても可愛いモノ、昔を思い出す懐かしいモノ、誰かが不要になった“余計なモノ”が、暮らしを豊かにすることも。
自分の不用品も、誰かの心に触れたなら──そんなつながりに期待をこめて。

インテリアアイディア:interior idea 32 物々交換で宝探し〈サルベージSHOP〉

「自宅の不要品を持ってきていただいて、代わりに誰かの不要品を自由に持ち帰ることができます」と話すのは、捨てられてしまうモノを救済するサルベージSHOP「レトロカルチャー」代表の古田雄大さん。

本業の片付けや不用品回収事業を営む中で、まだ使えるようなものが大量にトラックから流し捨てられている廃棄物処分場の光景が頭から離れず、「レトロカルチャー」を立ち上げました。

活動に賛同した企業や近隣の農家が在庫品や規格外の作物を提供してくれたりもしますが、現状は赤字です、と言いながら、その表情は明るく楽しげな古田さん。

「レトロカルチャー」では、まず持ち込まれた不要品を店頭で検品します。壊れたり汚れているもの、5年以上前の家電、また100円ショップ商品や食器、ペット用品などの中古品は持ち込みNG。

検品の後は、誰かが置いていった物を自由に持ち帰りできます。持ち込んだものと持ち帰りたいものがだいたい同等と、自己判断でバランスを取ればOK。

差が大きい時はだいたいの差額で、何も持ち込みがないのに持ち帰りたい場合は500円の寄付金で持ち帰れます。

参加費や入会金などの費用はかかりません。ただし転売や、友達にあげるのも禁止。

「あげるのではなく、ぜひ友達自身が物々交換に参加してください!」(古田さん)

物々交換で「等価」の判断は難しいもの。そこにはモラルが必要で、物々交換が成立するのは地域のモラルが高いということ、と誇らしげな古田さん。

不用品を持ち込むだけの人も、日課のように立ち寄る人、持ち込みをせず眺めて楽しむ人もいるそうです。

「おもちゃを捨てようと言うと『絶対ヤダ!』ときかない子も『物々交換に持っていって誰かに使ってもらおうか』と言うと納得すると、親御さんから聞きました。まだ使えるモノを捨てるのではなく、次の人に使ってもらうという循環が身についてくれると嬉しいですね」(古田さん)

https://salvageshop-retoroculture.com/

  • 愛知県岡崎市美合町生田125
  • 愛知県岡崎市美合町生田125
  • 0564-83-8849
  • 名鉄「美合駅」より徒歩5分

持ち込み品を検品する妻のゆうこさん。持ち込みNG品の詳細はWebで確認を。

文房具から家具や家電まで、さまざまな品物が「次の持ち主」を待っている。

近隣住民には家族で参加する常連さんも多く、特に子どもたちには大人気。

オクラやなすなど、近隣の協力農家からサルベージした規格外の野菜も並ぶ。

未使用品や新品同様のものも少なくない。思わぬ出会いにワクワクも高まる。