ZEN CLUB

2024年 06 月号 Number. 566

不動産・建設関係のトレンド

不動産の税金 Q&A

土地・家屋の購入・売却、相続のときは、税金についての知識もしっかり持っておきたいもの。
そこで今回は「不動産の税金」について、よくあるお悩みの中から4つをピックアップして解説します。

Q不動産を所有する父が亡くなったときの相続税が心配です

A不動産を相続する際、通常の評価額をもとにすると高額な相続税が発生し、自宅や事業用の不動産を売却しなければ税金を支払えないことがあります。それでは遺された家族の生活に大きな影響が出るため、一定の要件を満たす場合は宅地等の評価額を最大80%下げ、税負担を軽減する「小規模宅地等の特例」があります。

たとえば亡くなった人が自宅として使っていた宅地等を遺産相続した場合、330平方メートルまでの部分は評価額を80%まで下げられます。配偶者の場合は無条件で適用されますが、ほかの親族については亡くなったときに同居していたか、さらに相続税の申告期限まで所有し、居住しているかどうかが問われます。

また配偶者や同居親族がおらず、別の親族が相続する際には、別途、定められた要件を満たせば特例が適用されることもあります。

Q固定資産税の納税通知書を見て税額が高く驚きました。下がっていくものと思っていたのですが…

A固定資産税とは土地や家屋、償却資産(工場の機械や会社の備品など)といった固定資産にかかる税金のこと。固定資産の評価額(課税標準額)に1.4%(標準税率)をかけたものが基本的な税額となります(特例が適用されるケースもあります)。

土地や家屋は原則、3年ごとに「評価替え」という見直しが行われます。市場価格は常に変動しており「適正な時価」で評価すべきですが、現実に毎年、一つひとつ評価していくのは不可能です。そのため3年ごとに見直す制度が取られており、2024年度は評価替えの実施年にあたります。

予想以上に「高い」と感じる場合は、地価や建築費用の上昇が影響しているかもしれません。固定資産税は地方税で、土地や家屋などが所在する市町村に市町村税として納税します(東京都23区内のみ東京都に都税として納付)。

もし受け取った納税通知書記載の評価額に疑問があるときは、自治体の担当窓口に問い合わせ、税額の根拠などを確認してみましょう。納得できないときは、中立的な機関である「固定資産評価審査委員会」に審査の申し出ができます。ただし不服の申し立て期間は決まっているので注意しましょう。

Q空き家を放置しておくと「固定資産税が6倍になる」という情報を目にしましたが、どういうことですか?

A空き家であっても固定資産税や都市計画税がかかります。固定資産税と都市計画税には「住宅用地特例」という特例措置があり、条件を満たせば固定資産税で最大1/6、都市計画税で最大1/3まで税金が減額されています。その条件とは「住宅が建っていること」。そのため税金対策で解体されず、放置された空き家が各地にあるのです。

しかし増え続ける空き家問題を解決するため2014年、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空家等対策特別措置法)が制定されました。この法律によって、適切に管理されていない空き家は「特定空家」と指定され、状況が改善するよう助言や指導、勧告、命令が行われます。

この「勧告」を受けると、固定資産税の優遇措置が適用されなくなります。そのため特例措置により1/6の納税額で済んでいた固定資産税が、勧告で通常の税額に戻ると従来の6倍高くなってしまう、ということなのです。

実家を相続した場合は「特定空家」にならないよう、庭木の手入れや家屋の保全に取り組む必要があります。しかし管理・維持が難しい空き家の場合は、売却も検討しましょう。

相続した空き家を譲渡し、得られた利益から最高3000万円が控除される特例措置がありますが、適用期間が2027年末まで延長されました。ただし適用にはさまざまな条件があるので注意してください。

Q「タワマン節税」が改正されたと聞きました。どのような影響がありますか?

A富裕層がタワーマンション(タワマン)を購入し、相続税を軽減することを一般に「タワマン節税」と呼んでいます。タワマンは通常、高層階ほど市場価値が高いものですが、これまでの相続税評価額は、階層の違いによる価格差は考慮されていませんでした。

そのため高層階の購入では、市場価格と相続税評価に大きな開きが生じ、結果的に相続税の負担につながっていたのです。しかし新たな税制改革で、高層階になるにつれ税額が上がるようになり、大きな節税効果が見込めなくなりました。資産としてタワマン購入を考えている人は頭に入れておく必要があるでしょう。