愛知県名古屋市 名古屋大学EI創発工学館・北部厚生会館・plugin lab(プラグインラボ)
PPP/PFI推進アクションプラン主要プロジェクトに選定
公共施設等の整備、維持管理、運営等を行政と民間が連携して行うPPP/PFI手法を推進する内閣府は、1月に事例集として「重点分野における主要プロジェクト」を発表しました。そのなかで全国でも数多くの事例がある「学校施設」から、株式会社ユニホーが代表企業を務めた「名古屋大学(東山)地域連携グローバル人材育成拠点施設整備等事業」が取り上げられています。国も積極的に推進するPPP/PFI事業への取り組みについて、プロジェクト推進課 小山美久さんにお話を伺いました。
PPP/PFI事業としての特徴
PPP/PFI手法によるプロジェクトは、1999年に制定された「PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)」に基づき、内閣府主導のもと推進されています。その背景には各種インフラ設備や公共施設の低利用化・老朽化などがあり、早急な対策が必要とされてきました。
公民が連携して公共サービスの提供を行う「PPP」と、その代表的な手法の一つである「PFI」では、民間事業者にとっては事業運営による対価を得られ、国や自治体は民間の高品質なサービスを活用できつつコストを抑えられるなど、双方にメリットがあります。
入札に参加した中からどの事業者に決定するかは、VFM(Value for Money)=支払い(Money)に対して最も価値の高いサービス(Value)を供給できるかが、最も重要な基準のひとつとされています。
今回取り上げられた名古屋大学の事業では、代表企業としてユニホーがSPC運営を担いました。「SPC(特別目的会社)」とは公募提案する共同企業体が新会社を設立し、施設整備・維持管理・運営等にあたるというもの。
同じZENグループである池田建設株式会社や株式会社ライフポート西洋のほかに、株式会社鴻池組、株式会社山下設計とチームを組みプロジェクトに向かっていく、その舵取り役となったわけです。
「ZENグループ外の企業との協働は、役割分担や利益分配、リスク分散、追加の要望やイレギュラーな問題も、マネジメント企業である私たちが調整しなければならず、大変なことばかりでした。しかし、そうした外部企業、とくにPFI事業の実績を多く持つ企業と組むことができたのは、私たちにとっても大きな経験と実績になっています」(小山さん)
プロジェクトを通して得られたもの
この案件を落札できた理由のひとつに、人が多く集まるスペースの活用方法の提案が挙げられます。
一般的なカフェや売店などではなく、学生同士や学生と社会が交流できる場としての施設。それは後の「plugin lab名古屋大学」のプロジェクトへとつながります。
「実は『plugin lab名古屋大学』ではオープン直前に事業運営をする企業の変更があるなど、他企業との連携事業ならではのイレギュラーな問題が発生し、一時はどうなることかと思いました。なんとか予定通り無事にオープンすることができて、学生さんたちが活発に利用してくれているのを見たときは、嬉しさが込み上げました」(小山さん)
PPP/PFI事業は難しい点も多いのは確かです。しかしそれ以上に、ノウハウの蓄積や協力企業とのつながりができることは替え難いものであり、また、社会性のある公共サービスが事業対象なので、SDGsやESGにも貢献できる、意義の高いプロジェクトともいえるでしょう。
培った提案力を活かして
今回、内閣府ホームページでこのプロジェクトが紹介されたことは一つの評価といえます。
継続して積極的にPPP/PFI事業に取り組んでいくというユニホーが、今後目指す方向をお聞きしました。
「これまでは施設整備を主とした事業に参画してきましたが、今後はコンセッション方式(民間事業者に公共施設等の運営権を付与)やPark-PFI(公園に施設を設置・運営する民間事業者を公募・選定)にも挑戦したいと考えています。
また、ユニホー本社のある愛知県だけでなく、ZENグループの拠点のある地域、とくに東京・関東圏でも実績を作っていきたいですね」(小山さん)
今後のさらなる飛躍が期待されます。
ZENグループによるPPP/PFI事業の実績
名古屋大学インターナショナルレジデンス大幸(仮称)等整備事業
2019年5月完成
- SPC:株式会社なごや大幸アカデミックサービス
- 代表・SPC運営・維持管理・運営:株式会社ユニホー
- 建設:株式会社麦島建設
- 設計・工事監理:株式会社現代建築研究所、株式会社織本構造設計
愛知県営鳴海住宅PFI方式整備事業
A棟2021年4月、F棟2022年1月完成
- 代表・建設:株式会社麦島建設
- 建設:株式会社ユニホー、株式会社ハクセイ
- 設計・工事監理:株式会社市川三千男建築設計事務所
名古屋大学(東山) 地域連携グローバル人材育成拠点施設整備等事業
EI創発工学館・北部厚生会館2023年3月、交流広場等同9月完成
- SPC:株式会社なごや東山アカデミックサービス
- 代表・SPC運営・民間付帯施設事業:株式会社ユニホー
- 建設:株式会社鴻池組、池田建設株式会社
- 維持管理:株式会社ライフポート西洋
- 設計:株式会社山下設計、株式会社鴻池組
- 工事監理:株式会社山下設計
民間付帯施設事業「plugin lab名古屋大学」
2023年4月完成
- 建物保有・運営サポート:株式会社ユニホー
- 運営:株式会社i-plug
愛知県営上和田住宅PFI方式整備事業(第2次)
E・F棟2023年10月完成、D棟2026年3月完成予定
- 代表・建設:株式会社麦島建設
- 建設:株式会社ユニホー
- 設計・工事監理:株式会社市川三千男建築設計事務所
愛知県営東高森台住宅PFI方式整備事業
2027年7月30日完成予定
- 代表・建設:株式会社麦島建設
- 建設:株式会社ユニホー
- 設計・工事監理:株式会社市川三千男建築設計事務所