不動産・建設関係のトレンド
2023年の市場動向を振り返る 不動産価格の推移
この数年、先進各国で大幅な利上げが行われる中にあっても、マイナス金利が続いていた日本。しかし、昨年7月に続いて11月にも日本銀行が金融政策を修正、長期金利は上昇傾向となりマイナス金利解除の見方も広がっています。
一般に金利が上昇すると不動産価格は下落すると言われており、2024年は不動産市場も大きく変化する可能性が。まずは昨年までの動向を振り返っておきましょう。
全国の地価動向
昨年は全国的に全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2022(令和4)年から2年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。
新型コロナの影響で弱含みがあった地価は、5類移行後は景気が緩やかに持ち直し、地域や用途などにより差があるものの、都市部を中心に上昇が継続するとともに、地方部においてもコロナ前への回復傾向が顕著にみられます。
特に地方四市※においては、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも10年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。その他の地域でも、全用途平均・商業地は3年ぶり、住宅地は28年ぶりに上昇に転じています。
全国不動産価格指数の推移(住宅/令和5年9月分・季節調整値)
昨年12月に国土交通省が公表した9月の全国の不動産価格指数(季節調整値)は、2010年平均を100として、住宅総合は135.6。前月比でも0.6%のプラスとなりました。
全体に2010年からほぼ横ばいの状態が続いていましたが、マンションは2013年頃から、住宅地と戸建ては2020年頃から上昇傾向に転じました。
特にマンションの伸びはめざましく、2020年以降はさらに顕著で、2010年から2023年でおよそ1.9倍にまで上昇しています。
2024年の注目ポイント
1.日銀の金利政策
3月中旬の春季労使交渉後の賃金改定が重要なポイント。賃上げ率の具体的な数字によっては早々にマイナス金利の解除が行われる可能性も。
2.円安による海外投資家の動向
2021年から続く円安により、都心部を中心に海外の投資家による不動産購入が増加。これも不動産価格の上昇に影響を及ぼしています。
3.ウクライナ戦争などの海外情勢
木材や原油など海外からの輸入価格が高騰し、 建築費用が上昇しています。そのため中古戸建て・マンションの需要が増加しています。
4.2025年大阪万博
2021年の東京五輪と同様に、2025年に開催される大阪万博も、インフラ整備に伴った経済効果による不動産価格の上昇が予想されています。