ZEN CLUB

2023年 11 月号 Number. 559

Interior Idea

interior idea 23 思い伝わる手書きの言葉 〈クリスマスカード〉

11月になれば街はすっかりクリスマス気分、イルミネーションやショーウィンドウが街を彩ります。
大勢で集まる賑やかなパーティーも楽しいですが、家族や親しい人たちと和やかに過ごしたり、
届いたカードをそっと開き、筆跡からその人へ思いを馳せるのもクリスマスの素敵な過ごし方。
ステーショナリー専門店「ペーパーツリー」代表・岡本さくらさんにお話を伺いました。

インテリアアイディア:interior idea 23 思い伝わる手書きの言葉 〈クリスマスカード〉
カナダのステーショナリーブランドFerris Wheel Pressとの、Paper Tree 10周年記念コラボレーションインク「Glimmering Greige – 煌めくグレージュ」

西欧諸国の多くは12月24日から1月1日までクリスマス休暇が続き、アメリカでも12月25日は祝日として定められています。

特定の宗教の記念日を国民の祝日とすることはできない日本ですが、12月25日が休日だったことがあります。大正15年12月25日の大正天皇崩御を受けて、昭和2年~22年の21年間は「大正天皇祭」として12月25日が休日に制定されていました。つまり休日となった理由はクリスマスとは関係がなかったのですが、このことが日本でのクリスマス習慣を広く普及させたと言われています。

昭和のバブル時代には派手なパーティーや高級ホテルの予約競争などが目立っていましたが、今は欧米のように自宅で家族や親しい仲間とゆっくり過ごすスタイルも定着してきました。それは単なる“楽しみの口実”ともなっていたクリスマスが、文化として熟成されてきた表れと言えるかもしれません。

クリスマスカードのやりとりは、欧米ではキリスト教徒でなくとも一般的な習慣で、12月の上旬からクリスマス前までが最盛期。しかし、これほどクリスマスで賑わう日本ですが、そこまでクリスマスカードを送る習慣は盛んではありません。これは、ちょうどその頃年賀状の準備に追われる人が多いことや、近年では郵送より電子メールやSNSを利用する人が増えたことも大きな要因と考えられます。

「グリーティングカードの魅力は、送り主の方の人柄や心遣いを、手書きの温もりと共に受け取った時に感じることができることです」岡本さんはそれまでの海外生活やかつて勤めていた出版社の仕事を通じて、直筆のカードや紙製品の温かさ、美しさに魅了され、「洗練されたグリーティングカードをオーダーできるショップがあれば」との思いで、2012年東京・九段下に「ペーパーツリー」をオープンしました。店内には欧米の老舗ブランドが手掛けたフォーマルなカードや、注目デザイナーによる驚くような仕掛けのある立体的なカードなど、1,000種類以上ものカード類が並びます。

ほかにもさまざまなインクやペン、シーリングスタンプなど、心をこめて思いを「書いて伝える」ためのステーショナリーがずらり。送る相手を思いながら、その人が喜びそうなデザインのカードを1枚ずつ選んでいくのも楽しいものです。

「お気に入りのクリスマスカードは、自分用にリビングや本棚に飾るのはいかがでしょうか。組み立てるタイプのクリスマスカードは、クリスマス時間を楽しむのにぴったりですよ」

とっておきの美しいインクで一言添えたクリスマスカード。あなたなら誰に送りますか?

銅版印刷ならではの重厚感のあるクリスマスカード
ホリデーシーズンを彩るヨーロッパの上質なガラス製品。
紙の手触りやインクの艶めきは手書きならでは
カリグラフィーや水彩画など多彩なワークショップも人気

Paper Tree ペーパーツリー

  • 東京都千代田区九段北1-4-7喜助九段北ビル 1F
  • 03-3261-9884
  • 東京メトロ東西線「九段下駅」徒歩2分
  • https://www.papertree.jp/