Interior Idea
interior idea 20 邪気を祓う我が家の守り神〈シーサー〉
青い空と海、美味しい料理や酒、三線の音色──沖縄を象徴する魅力的な文化は数多くあります。 邪気や災いが家に入ってこないように、魔除けの役割を持つシーサーもそのひとつ。 悪霊を威嚇する恐ろしい顔も、自分で作った愛嬌たっぷりの顔も“身近な守り神”の魅力です。
シーサーを頭の中で思い浮かべる時、狛犬とイメージが重なりませんか? どちらもライオンに似ていて、魔除けの役割で、多くの場合二体一対、片方は口を開けもう一方は閉じた「阿吽(あうん)」の姿…確かに多くの共通点が見られます。
それもそのはず、ルーツを辿るとどちらも古代オリエントのライオンが起源と言われています(諸説あり)。それが古代エジプトやギリシア、メソポタミアで想像上の生き物であるスフィンクスとなり、敵を打ち破る力を象徴し王や神を守護するシンボルとされました。やがてシルクロードを通って中国に伝わり、日本本土に渡ったものが狛犬となり、琉球王国に渡ったものがシーサーとなりました。
シーサーとは沖縄の方言で「獅子」のこと。「狛
犬」は名前に犬とついていますが、こちらも獅子に似た想像上の生き物です。しかし、狛犬は主に神社の入り口や社殿の前に置かれ、悪霊を祓いその土地や神様を守る役割を持つのに対して、シーサーは主に人が住む城や家屋に置かれ、邪気を
祓って家を守り、幸運を招き入れる役割もあります。
向かって右に置かれる口を開いたシーサーはオスで、邪気を祓って福を呼び、左のシーサーはメスで、福が逃げないように口を閉じているといわれています。しかし、両方口を開けていたり、単体で置かれることもあったりと、決まりに縛られないところも沖縄らしくおおらかです。
沖縄ではお土産屋さんだけでなく民家の屋根や門でもさまざまなバリエーションのシーサーが見られます。作家の手による豪華で勇壮なものから、キャラクターのようにデフォルメされたカラフルなマスコットまで、そのスタイルもさまざま。
あちこちで体験会も開かれていて、土から作って工房の窯で焼き上げたり、好きな色に絵付けをすることもできます。
自分の手で作り上げた世界に一つのシーサーには、特別な思いが込められるでしょう。
これほどまでに人の暮らしに寄り添い溶け込んでいるというのは、シーサーの大きな特徴です。
はるか昔の遠い国から来て沖縄独自の進化を遂げたシーサーですが、その人気は既に全国区となりました。意外にご近所さんの玄関先でも、シーサーが家を守っている姿を見つけられるかもしれません。