ZEN CLUB

2023年 04 月号 Number. 552

<ZENグループの今>プロジェクトing

「クックパッドマート」(クックパッド株式会社)導入マンション

入居者の利便性と物件の価値を高める

生鮮宅配ボックス「マートステーション」

野菜

レシピ検索でおなじみのクックパッドが手掛ける生鮮食品のネットスーパー「クックパッドマート」。株式会社ライフポート西洋(東京都千代田区)では、クックパッドマートで注文した食材を、マンション内の居住者専用冷蔵庫で受け取れるサービスを管理物件に提案しています。クックパッドマートの仕組みや導入のメリットなどについて、同社リビングサービス部・竹田綾香さんにお話を伺いました。

1品から無料で受け取れる

 スマートフォンやパソコンで注文して、自宅などで便利に食品を受け取れるネットスーパーやデリバリーサービスは、コロナ禍でのステイホームで急速に拡大し、多種多様なサービスが提供されるようになりました。

その一方で「配達の1週間前に注文しなければいけない」「注文する品数をある程度まとめないと配送料の方が高くついてしまう」「配達時間に在宅して待つ必要がある」など、中には使いづらいと感じるサービスもあります。

そのような中、マンション管理を手掛けるライフポート西洋では、料理レシピの投稿・検索でおなじみの「クックパッド」運営による生鮮食品のネットスーパー「クックパッドマート」を管理物件に導入する取り組みを進めています。

クックパッドマートは市場の仲卸や地域の生産者、専門店などさまざまな食のつくり手に直接食材を注文できる生鮮食品ネットスーパーです。

2023年1月現在、東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県で展開。街の中に設置されている専用の生鮮宅配ボックス「マートステーション」で、注文した食材を1品から送料無料で受け取れます。(自宅配送も可能/別途送料500円)

注文はスマートフォンの専用アプリやパソコンのWebサイトから。約12,000商品以上から食材を選ぶことができ、スーパーなどでは見かけない珍しい商品や、こだわりの一品も数多く取りそろえられ、規格外サイズの食材や余剰在庫になった食材を低価格で販売する「レスキューマルシェ」も人気を呼んでいます。

注文を締め切るタイミングは商品ごとに異なりますが、中には最短で翌日に受け取れる食材もあります。

利便性と物件の魅力向上に

マートステーションは駅やコンビニ、ドラッグストア、コインランドリーなどに設置されていますが、マンションの共用部に居住者専用で設置することも可能です。そのため、同社リビングサービス部の竹田綾香さんは「私たちは常に管理物件への新しいサービスの導入を検討しています。そのような中でクックパッドマートの存在を知り、管理物件へ設置すれば居住者の方の利便性向上はもちろん、物件の価値も高められると考えました」と導入のきっかけを話します。

竹田さん自身、当初はクックパッドマートのサービスを知らず、マートステーションを街中で見たことはありませんでした。そのため最寄りのマートステーションを検索し実際に使ってみたところ、魅力的な商品がたくさんあって、何を注文するか選ぶ楽しさがあったと言います。

「どのような地域で収穫されたかが分かり、商品の特長も示されているので、買ってみたいという気持ちになりました」

 また、コロナ禍のステイホームで“お取り寄せ”が身近になったことも影響していると言います。

「マンション内で受け取れるなら、好きなものを好きなだけ、送料無料で“お取り寄せ”できるような感覚で、日々のお買い物を楽しめます。オーガニックの食材などにこだわりがある方や、新鮮な食材を求めている方には特に魅力を感じていただけるのではないでしょうか」

不安の声や課題にも向き合う

 マートステーションの設置は、原則100戸以上のマンションが対象となり、同社の管理物件では2023年1月現在、首都圏の6物件に導入されています。マートステーションは自動販売機に似たサイズで、エントランスやエレベーターホールなどの共用部に設置できることが条件となり、電源とネットワーク環境が必要です。

懸念されるのはマートステーションの維持にかかる電気代などのコストです。これについて竹田さんは「マートステーション自体は無料で設置されますし、現状はクックパッドマート側が維持協力金を負担していますので、各物件でご負担いただくコストはありません」と話します。

また業者の納品があるため、防犯面、衛生面を心配する声もありますが「新しいサービスですので、いろいろと課題はあります。ですが、ご心配やご不安の声はクックパッド社の方に直接お伝えし、より良いサービス提供のため、改善をお願いしております」と竹田さんは強調します。

現代の“御用聞き”に

マンションに生鮮食料品が届くのは、日々の買い物に出るのが負担となる高齢の方に大きなメリットとなる一方で、注文はスマートフォンのアプリやパソコンのWebサイトからがメインのため、敷居が高く感じられるかもしれません。

しかし「昨年、“移り変わる食の価値観”というテーマの講演会をお聞きする機会がありました。その際、たまたまクックパッドマートの話題が出たんです。アニメの『サザエさん』で、近所の酒屋さんが勝手口から、お酒やおしょうゆを届けに来ますよね。そういう御用聞きみたいな立ち位置に、クックパッドマートはなるのではないか、という話でした。新しいサービスですが、そういうイメージを高齢者の方にも持っていただいて、少しずつ受け入れていただけたらうれしいです」(竹田さん)

 今後はライフポート西洋の本社ビル内にもマートステーションの設置が予定されています。

「弊社のフロント担当者が、マンションの管理組合や理事会等にこのサービスの紹介や導入のご提案をさせていただいておりますが、まずは担当者自身がサービスについてメリットを感じ、その良さを伝えてもらう必要があると考えています。このようなプロセスを踏む中で、担当者自身の興味・関心が深まり、お客さまが抱く心配や懸念も共有できるはずです。一つずつご心配を解消して、魅力を伝え、導入を決めていただくところへ持っていきたいと思っています」(竹田さん)。

すでに同社の社員からも「使ってみたい」という声が上がっているそうです。

「現在、サービスの展開は首都圏に限られていますが、当社は他のエリアにも管理物件がありますので、よりたくさんの方にこのサービスをご紹介できるよう配達可能エリアが広がってほしいと願っています」。竹田さんはそう話し、さらなるサービスの拡大に期待を込めていました。

cookpadmart

マートステーション
マンション共用部に設置したマートステーション。
cookpadmartのアプリ画面
:フードロス削減やこだわり食材、ベストプライスなど食材選びも楽しいスマホアプリ
リビングサービス部・竹田綾香さん
リビングサービス部・竹田綾香さん